優人編2

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啜り泣きと拍手のなか、夕貴を再び抱き抱えバージンロードをゆっくり来客に頭を下げて戻っていこうとすると、 誰からともなく来客の手でアーチが作られた。 その中を夕貴と二人で歩く。 「夕貴…、目を覚まして。幸せになる競争よ!早く起きないと私の不戦勝になるじゃない。」 「そちらもご結婚おめでとう。夕貴から聞いてたよ。」 夕貴の友達の七海さんだ 確か夕貴は彼女の結婚式に呼ばれてた筈だ 「うん、高村くんがんばれ。好きな人の傍にいれば夕貴はきっと目を覚ますよ!」 「うん、そうなるよう頑張るよ。」 「浅井さん、あなたほんとに綺麗ですわよ。旦那さんもいい男だわね。起きないと言えないじゃない。私が誉めるなんて今しか無いですわよ。浅井さん!」 「ありがとうございます。」 この人は同僚だったな 確か、最初のマンションで見た人だ 「優人、夕貴はお前に託したんだからな、幸せにしろよ。」 「…敦」 しばらく見ないうちに男らしくなったな敦。 「頑張れよ!」 敦からもぎ取るように夕貴を奪ったんだ。 だのに、こいつは俺に夕貴を頼むと言った。こいつのためにも夕貴を幸せにしなくちゃいけない。 敦、約束は守るよ「ああ、ありがとう。」 来客の言葉に一つ一つ応えながらゆっくりアーチを潜り抜け二人でドアを出た。 外は二人を祝福するかのように雲一つ無い青空で 眩しいくらい明るかった。 目を細めて空を見上げると、青い羽を広げた小鳥が河川敷の方に飛んで行った。 「夕貴、青い鳥がいたよ!」 声をかけながら夕貴に視線を向けると 透明感ある肌は光の中でますます白く輝いていて、瞼はやっぱり動かない。 自分腕の中から消えていくような不安を感じて 思わず腕の中の夕貴に唇を重ねた。 どこにもいかないでくれ 君がいてくれるだけで僕は幸せなんだから… 夕貴 愛してる そう心の中で囁いた。
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