冬に来た、突然の別れ…

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結局3時間半ぐらいだろうか。 「彼」と飲みながらいろいろな話をした。 時計を見ると9時を過ぎている... 「弟さん、海老名まで来るんでしょ?時間大丈夫?」 「あ...もうこんな時間だったんだ。明日も仕事あるし、 それに君も親御さん心配するでしょ?」 「それは大丈夫だと思うけどね。弟さんくるまでに時間かかるんじゃない? 連絡しておいたら? あたし、ちょっとトイレ行くから…」 そう言うと、彼は頷いて電話をして弟さんに迎えを頼んでいた。 その隙に、あたしはレジに行ってお会計を済ませていた。 席に戻って、グラスに残ったドリンクを飲み、お互いに店を出ようとした時、 「彼」が異変に気付き始めた。 私は店員さんに「彼」の靴を受け取って、玄関に置く。 「あれ?伝標忘れたみたい。ちょっと待ってて」 そう言って席に戻ろうとする彼を慌てて引き留めた。 「大丈夫、お会計は済ませてあるから。行くよ」 「え...何時の間に?」 「あたしがトイレ行くついでに。誠一さん電話してたし...」 「いや、それはダメだよ。割り勘にしないと」 「いいの。だってさ、誠一さんが誘ってくれなかったら、あたし... こうやって飲み会とか来ないし。だからそのお礼」 靴をはいたあたしは「彼」が靴を履くのを手伝う。 靴を履いて外に出る準備が出来ると、2人で店を出る。 エレベータの中で「彼」はなんだか不服そうだ。 「やっぱりおごってもらうのは何かなぁ...」 「そんなこと気にしても、もう遅いよ。 今日はすごく楽しいお酒だったし。 だから、あたしのわがままなんだけど、このまま受け取って」 「そう言われたらなぁ...分かった、じゃあ、今日はごちそうさま。 次は俺がおごるね」 「うん」 それから駅前で30分ほど話をしていると、赤い車が近づいてきた。 「あ...弟、来たみたい」 「よかった。じゃああたしはここで。帰り気をつけてね。 今日は本当に楽しい時間をありがとう。」 「こちらこそ、ありがとうね。また何かあったら連絡して」 「うん、弟さんにもよろしく。じゃあね!」 車に乗り込む「彼」を見送ると、あたしは自転車乗り場にある自転車で家に帰った。
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