1人が本棚に入れています
本棚に追加
2人での飲み会が終わってからは、あたしもいろいろと忙しくなってしまった。
バイト先の移動で厚木のお店から大和のお店へ。
接客だけではなく、新しく入ってきた後輩バイトの教育をしたり、
機械の掃除をしたりと、厚木のお店よりも倍以上の仕事量になっていた。
気が付いたら、バイトリーダーに近い位置まで上り詰めていた。
ライフガードも続けていた。週に1回だが、1日通しで入っている。
プールの監視はもちろんのこと、時には受付業務も行った。
バイトの忙しさに、キャンプのボランティアに行く事もなくなってしまい、
「彼」に会うことも少なくなった。
飲み会の時に住所を聞いていたので、手紙を書くようにしていた。
たまに返事が来るとうれしかった。
でも、何故か「2回目の飲み会」の話にはならなかった...
それから何度も季節は巡っていた。
あの日から7年以上が経っていた。
その間に、あたしは結婚をして、家を出て、子供が出来ていた。
弟は、障碍者就労で一般企業での仕事をしていた。
1月のある日、母親から連絡があった。
「あのさ、お母さん、函館に行くわ」
「どうしたの、急に...」
「おばあちゃん、入院しているって言ったでしょ?
病院から電話があって、ちょっと危険な状態なんだって...
だから函館に行くからさ、何かあったら色々とお願いしていい?」
「お祖母ちゃん大丈夫なの?心配だなぁ...
いいよ。何かあったらこっちでやる。」
万が一の際の対応を色々と聞いて、電話を切る。
心配だったけど、何も出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!