冬に来た、突然の別れ…

9/10
前へ
/20ページ
次へ
次の日の準備をしていると、家の電話が鳴った。 「もしもし、佐々木ですが...」 電話の相手は、弟がキャンプに参加している主催者からだった。 「夜遅くにすみません。お母様はいらっしゃいますか?」 「あ、すみません。母は今函館にいるのですが...」 「そうですか...実は何時もキャンプでお世話になっていた 愛川のボーイスカウトの「水野谷さん」が今日亡くなりまして...」 電話の向こうの話す言葉に、あたしは声を失った。 「彼」が死んだ?嘘でしょ?何で... そう思った。 でも、こっちにも伝えないとならない事情がある事を思い出した。 「そうだったんですね...実は大変申し上げにくいのですが... 母が函館にいるのは祖母の危篤を聞いて向こうに行きまして、 今日、祖母が亡くなったもので、こちらもその対応に追われてるんです。 たぶん10日以上は連絡できないかと思いますが...」 「え...そうだったんですか?すみません、お忙しい時にお電話してしまいまして。 お悔み申し上げます」 「ありがとうございます。母にはこちらから伝えておきます」 そういって電話を切る。 あの「誠一さん」が死んだ...すぐには受け入れられなかった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加