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次の日の準備をしていると、家の電話が鳴った。
「もしもし、佐々木ですが...」
電話の相手は、弟がキャンプに参加している主催者からだった。
「夜遅くにすみません。お母様はいらっしゃいますか?」
「あ、すみません。母は今函館にいるのですが...」
「そうですか...実は何時もキャンプでお世話になっていた
愛川のボーイスカウトの「水野谷さん」が今日亡くなりまして...」
電話の向こうの話す言葉に、あたしは声を失った。
「彼」が死んだ?嘘でしょ?何で... そう思った。
でも、こっちにも伝えないとならない事情がある事を思い出した。
「そうだったんですね...実は大変申し上げにくいのですが...
母が函館にいるのは祖母の危篤を聞いて向こうに行きまして、
今日、祖母が亡くなったもので、こちらもその対応に追われてるんです。
たぶん10日以上は連絡できないかと思いますが...」
「え...そうだったんですか?すみません、お忙しい時にお電話してしまいまして。
お悔み申し上げます」
「ありがとうございます。母にはこちらから伝えておきます」
そういって電話を切る。
あの「誠一さん」が死んだ...すぐには受け入れられなかった。
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