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奇しくも祖母と「彼」の命日が一緒になるなんて...
手紙の返事でも、身体が悪い事言ってなかった。
結婚する事を伝えると「おめでとう、幸せにね!」と返事が帰ってきていた。
そんな「彼」がなくなったなんて...
父親には言えなかった。
次の日、親戚と合流して函館へ。
1月の函館は、雪景色...すぐに斎場に連れていかれた。
布団に横たわる祖母は、穏やかな顔をしていた。
それを見て「祖母が死んだ」と同時に「彼」が死んだ事を突き付けられた。
母親に、電話があった事を伝えた。
「あのね...昨日の夜、河合さんって人から電話あったんだよ。
お母さんが委員やってる『親の会』の...
それで「夏のキャンプにボランティアで来てた水野谷さんが亡くなった」って言われたんだけどね...」
「そうなの?水野谷さんって...どんな人だったっけ?」
「愛川のボーイスカウトの人で、足に装具つけてて右半身麻痺を持ってる人」
「ああ、あの彼...何時なくなったって?」
「それが...お母さんから連絡あって、海老名の家に行った後だからたぶん同じ日かな」
「まだ若いでしょうに...親御さんが不憫だわ」
「でも、お母さんも不憫だと思うよ?ばぁちゃんなくなってさ...」
次の日、すぐに納棺師さんが来て、祖母の納棺をしてくれた。
たくさんの花に囲まれて、綺麗だった。
不謹慎だが、写真を取りたい程だった...
函館は、葬儀の前に火葬するのが一般的だ。
棺を霊柩車ではなく、マイクロバスに親族と一緒に載せて火葬場に向かう。
棺をマイクロバスに入れる際に、粉雪が舞い散っていた...
「おばあちゃんが、雪を降らせるとはねぇ...」
「最後まで別れるの嫌なんだろうね...」
そんな親族の言葉を聞きながら、舞い散る雪を見つめる。
それは祖母が「あんたも色々と悲しいんでしょ?」と言われている気がした...
函館での葬儀が終わって帰ったが、「彼」の家に行く事は出来なかった。
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