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夏の夜の出逢い
「彼」とは夏の日の夜に出逢った。
右半身に麻痺のあった彼...
足に装具は着けているものの、杖を使う事を拒んでいる。
問題は、そこではなかった。
「彼」は酒に酔っていたのだ。
介護福祉士の資格とライフガードの資格を持っているあたしは、
そんな彼の事を危なくて見ていられない...
「部屋に戻るわ」
そう言った「彼」を1人に出来なかった。
「ちょっと待って!
その状況で一人で部屋に帰るって危ないよ」
そう、何故なら「彼」とあたしがいるのはキャンプ場。
キャンプファイヤーの場所からバンガローに戻るには、
舗装されていない道を通らなければならないのだ。
「肩貸すから、一緒に行こう」
「大丈夫だよ...」
「あのさ...明日までキャンプはあるんだよ?
怪我したら元も子もないし『キャンプが楽しかった』って思えないでしょ!
しかも『ボランティア』で担当の子がいるんでしょ?
だったらなおさら怪我なんてさせられないよ...」
「彼」はボーイスカウトのメンバーと一緒に
『ボランティア』でこのキャンプに参加していたのだ。
半ばお節介になるが「彼」の腕をつかみ、自分の肩に乗せた。
「いい?ゆっくり行くから...とにかく足場に気をつけてよ」
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