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次の日、「彼」は頭を抱えている様に見えた。
「おはよう。ちゃんと寝れた?」
「あ、おはよう。昨日はありがとうね。
まだ酒残ってる感じ..かな?」
「二日酔い?かなり飲んでたもんね」
「君は...大丈夫なの?」
「あたし...お酒苦手なんだよ。だから飲んでないの。
『ボランティア』も、ある意味仕事と同じだから」
「......真面目だな。真面目すぎるわ」
「それだけが取り柄かも...あたしも普通じゃないから...」
「え......?」
「こう見えてもあたしも『障碍者』だから」
あたしの言葉に驚く「彼」...
そんな「彼」を見ながら、周りを見ると、遠くて手を振っている人がいる。
それは他の『ボランティア』が『フリーランスのボランティア』を呼ぶ合図だ。
「ごめん、呼ばれたわ。あたし行くから」
「あ、うん...」
そう言うと「彼」をその場に残して、あたしは呼ばれた方へ向かって行った。
そんなあたしを、不思議そうに見つめる「彼」がいた事なんて知らなかった。
キャンプが終わると『参加者』と『ボランティア』とはそこでお別れになる。
でも一部の『ボランティア』は『参加者』と一緒のバスに乗って帰る。
「彼」は前者、あたしは後者だった...
「お疲れ様。今度飲み会やるから来ない?」
「お疲れ様でした。でも、あたし飲めないよ?」
「大丈夫。飲めない子はいるし...って言うか
ボーイスカウトのメンバーには未成年者もいるから」
「わかった、日程決まったら連絡して」
そう言うと「彼」に電話番号をメモして渡す。
「それ、あたしの家の電話。そこにかけてくれる?」
「わかった。じゃ、またね」
「お疲れ様、気をつけて帰ってね」
「そっちも気をつけてね」
そう言うとあたしはバスに乗り込んだ。
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