再び出逢うのは、秋

1/4
前へ
/20ページ
次へ

再び出逢うのは、秋

秋になって、あたしはライフガードのバイトと、ゲーセンのバイトをしていた。 月曜日から土曜日まではゲームセンターで、日曜日は市営プールでのバイト。 平日に休みはあるけど、基本的にはフリーターだったから毎日バイトだった。 ある日家に帰ると、母親から声をかけられた。 「さっき電話あったわよ?キャンプのボランティアの子から。 飲み会の話だって。行くの?」 「行くつもりだよ?何時?」 「来週の火曜日の夜だって。場所は...厚木って言ってたかな?」 「厚木か...バイト終わったらいけるかな。」 「行くならちゃんと相手に連絡しなさいよ。」 「相手...あ、連絡先聞いてない!」 「はい、これ。向こうの電話番号。遅くならない内に電話しなさいよ」 母親から渡されたメモには「彼」の名前と電話番号が書かれてた。 すぐに電話をする。 電話の向こうから声がする。 「あ、夜分遅くにすみません。先日のキャンプで一緒にボランティアに参加した 佐々木ですけど、誠一さん、いらっしゃいますでしょうか?」 電話の向こうでは、相手に変わってくれている。 待っている間が、ちょっともどかしかった。 「もしもし、俺だけど...」 「あ、こんばんは。先日はお疲れ様でした。 電話をいただいたみたいなんですけど、あたしバイトでいなくって」 「ああ、ごめんね。飲み会の件で電話したんだ」 「母から聞きました。来週の火曜日に厚木ですよね。 大丈夫です。バイト先、厚木なんで」 「そうなの?じゃあ、夕方6時に本厚木の駅に集合って事で。 場所は、他の人が決めてるから。別に電話が行くと思うよ」 「別の人?」 「うん、座間のリーダーの鈴本さん。彼、本厚木で仕事してるから、 飲み会の場所きめるのは彼なんだよ」 「そうなんだ...分かりました。でも...鈴本さん、あたしの連絡先知ってるのかな?」 「たぶんキャンプの主催者から連絡が入ると思う。 君のお母さん、担当でしょ?」 「あ......そうだった。」 「じゃあ、詳細はお母さんから聞いてね」 「わかりました。わざわざありがとうございます」 「いえ、どういたしまして、それじゃ、おやすみ」 お母さん...知ってるなら先に言ってよ。 そう思いながら電話を切る。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加