再び出逢うのは、秋

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再び出逢うのは、秋

秋になって、あたしはライフガードのバイトと、ゲーセンのバイトをしていた。 月曜日から土曜日まではゲームセンターで、日曜日は市営プールでのバイト。 平日に休みはあるけど、基本的にはフリーターだったから毎日バイトだった。 ある日家に帰ると、母親から声をかけられた。 「さっき電話あったわよ?キャンプのボランティアの子から。 飲み会の話だって。行くの?」 「行くつもりだよ?何時?」 「来週の火曜日の夜だって。場所は...厚木って言ってたかな?」 「厚木か...バイト終わったらいけるかな。」 「行くならちゃんと相手に連絡しなさいよ。」 「相手...あ、連絡先聞いてない!」 「はい、これ。向こうの電話番号。遅くならない内に電話しなさいよ」 母親から渡されたメモには「彼」の名前と電話番号が書かれてた。 すぐに電話をする。 電話の向こうから声がする。 「あ、夜分遅くにすみません。先日のキャンプで一緒にボランティアに参加した 佐々木ですけど、誠一さん、いらっしゃいますでしょうか?」 電話の向こうでは、相手に変わってくれている。 待っている間が、ちょっともどかしかった。 「もしもし、俺だけど...」 「あ、こんばんは。先日はお疲れ様でした。 電話をいただいたみたいなんですけど、あたしバイトでいなくって」 「ああ、ごめんね。飲み会の件で電話したんだ」 「母から聞きました。来週の火曜日に厚木ですよね。 大丈夫です。バイト先、厚木なんで」 「そうなの?じゃあ、夕方6時に本厚木の駅に集合って事で。 場所は、他の人が決めてるから。別に電話が行くと思うよ」 「別の人?」 「うん、座間のリーダーの鈴本さん。彼、本厚木で仕事してるから、 飲み会の場所きめるのは彼なんだよ」 「そうなんだ...分かりました。でも...鈴本さん、あたしの連絡先知ってるのかな?」 「たぶんキャンプの主催者から連絡が入ると思う。 君のお母さん、担当でしょ?」 「あ......そうだった。」 「じゃあ、詳細はお母さんから聞いてね」 「わかりました。わざわざありがとうございます」 「いえ、どういたしまして、それじゃ、おやすみ」 お母さん...知ってるなら先に言ってよ。 そう思いながら電話を切る。
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