0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
今日は、この街の中央公園の、桜の木の下で……
彩音――のコンサートは行なわれる。
午後二時――マイクだけがセッティングされたステージの前の、二十台並べられたパイプ椅子には、すでに空席はなかった。
それから数分後には、その倍以上の立ち見客が、椅子席の後方を埋めつくした。
そして、開演の午後二時半、ラフな格好でギターを手にした、ストレート長髪の彩音が現れた。
年齢は、十代後半の専門学校生だ。
無論、全員が拍手すると、彼女はチョコンと会釈し……
「ありがとう御座います。では、いつもの曲から――“ねがい”――です……」
ギターの演奏が始まり……
最初のコメントを投稿しよう!