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俺は素早く一服を済ませ、喫煙所を後にして、スーパーのトイレで入念に手を洗った。
やった。
あとは待つだけだ。
俺はアイツの部屋の見える公園に場所を移して、そこで静かにアイツの最期を観察することにした。
ドキドキしている。
怖かった。
けれど、、、
それ以上に嬉しかった。
暫くして、、、
アイツの部屋に異変があった。
言い争う声が聞こえる。
そして悲鳴だ。
由紀子の声だ。
どうしてアイツの部屋から由紀子の声が?
落ち着いて考えれば、アイツと由紀子は付き合っている。部屋に一緒にいても、不思議は無いのだ。
ああ、俺は由紀子の前でアイツを殺してしまったのか?
恐ろしさが爆発的に膨れ上がった。
そこでスマホが震えた。
由紀子からだ。
「もしもし」と、そう言った俺は冷静ではなかった。
《どうしよう。彼氏が、、、》
泣きそな声で由紀子が言っていた。
「ゴメン」
《え? 何で謝ってんの?それより、助けて。私、どうしたら、、、?》
「彼氏が死んだんだろ」
《そうなの。何で? 何で知ってるの?》
「俺が殺したんだ。俺が毒を、、、」
《毒?》
ん?あれ?
「そう。毒で、、、」
《毒?》
あれれ?何かリアクションおかしいなぁ?
「うん。だから毒を、、、」
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