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「うわー、きれいー!!」
僕たちは朝食を終えるとみんなで外出をした。
目の前に広がるのは白や紅、ピンクが美しい梅林だ。
「目ぇ覚めるな、これは」
「香りも素晴らしいですな」
「あー、春がやってくるね」
みんないい笑顔だった。
それが何とも嬉しい。
僕たちはのんびり梅林を堪能するため、休憩処から少し離れた椅子に腰かけていた。
抹茶やお団子もあって、これはまさに至福の時だった。
「俺、ちょっとトイレ」
「りょーかい」
聖が席を立った。
僕たちは目を閉じた。
傍目には春の陽気を堪能している様に見えるだろう。
『コハク、どう?』
カスミの声が風がそよぐように聞こえる。
『んー、植物たちに異変はないみたい』
『チトセさんは?』
『そうですね、水に澱みは感じられませんね』
チトセさんの声がせせらぎのように聞こえた。
『カスミは?』
『うん、微かにだけど、遠くに冷たさが感じられる』
その言葉に僕たちは目を開いた。
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