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「そろそろなのかな?」
「そうですね、近いかもしれません」
「ということは・・・・・・」
「そろそろ来てくれるね。待ってたから嬉しいんだけど・・・・・・それとは別に複雑だなー」
僕たちが聖の元に集まった原因となるソレの気配をカスミは感じ取っていた。
それはつまり心配なことが出てくると同時に、彼も合流してくれるということだ。
「あー、癒されるよなー」
そんなことを言いながら聖が戻って来た。
僕らが青い空を眺めていたからだろう。
「ねー、枝垂れ梅もきれいだしねー」
視線の先には枝がきれいに流れる、満開の枝垂れ梅があった。
これには感嘆の声しか出ない。
その時、ふいに強い風が吹く。
白梅の花びらがそれに乗って、舞っていた。
「日当りがいいところのは強い風が吹くと散っちゃうな」
聖が舞っている花びらをつかむように手をかざす。
「おっ!つかんだ!」
嬉しそうに笑う聖の顔は月並みだけど太陽のようだった。
「ほら」
そう言って僕の前に手を差し出す。
僕はそれをつかんで、聖の目の前に差し出した。
「ん?」
不思議そうな顔になる聖の鼻にそれを触れさせる。
「えっ?」
予期せぬその感触に聖は驚いた。
そう、僕が手にしていたのは羽根だった。
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