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[『櫻と姪と父と。』②]
一年が過ぎ、正月の祝い事を慎み、正月恒例の兄の家行きを断念した母と私は、春休み、甥と姪に会う為に櫻の舞う奈良に旅をした。
父の亡くなった年の4月に入学式をした姪、澪は小学2年生になろうとしていた。
私たちは、兄の家の近くの大きな公園にお花見に出かけた。
用のある義姉は遠慮し、兄と、母、甥の直、姪の澪、そして私。というメンバーで。
三重から奈良に来る途中の車窓から見えた、深い山の中の櫻樹はまだ2,3分咲きだったが、麗らかな春の日差しで公園は温かく、ボール遊びに興ずる兄と直、澪、母たちに花吹雪が舞う様を、私は数枚の写真に収めて青空を見上げた。
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