1人が本棚に入れています
本棚に追加
一人の老人が私たち二人の横を通り過ぎた。
目の覚めるような緑色のカーディガンを纏い、ハンチングを被った、小洒落た老紳士であったが。
・・・お父さん?
背格好といい、歩き方の癖といい、少し口角を上げたときの微笑の表情は、父そのもの、だった。どちらかというと茶系やグレーの服を好んだ父、であったが。
そんなはずはない。他人の空似、という以前に私の錯覚、思い込みだろう・・・と私は黙って歩いた。しかし・・・・・・
最初のコメントを投稿しよう!