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忙しなく聞こえる油蝉の声。
アスファルトから濛々とあがる輻射熱。
額に滲む汗をハンドタオルで拭いながら、今井春臣は丘の上に建つ学校までだらだらと続く、長い坂道を登っていた。
まだ午前九時を少し回ったところだというのに、朝のすがすがしい空気は凶悪な熱気を含むものに変わろうとしている。
木陰を選ぶようにして歩いても強烈な陽射しは容赦なくじりじりと肌を焦がす。
「やっぱ、引き受けるんじゃなかったかな」
ぶつぶつと文句を言いつつも、こうやって夏休み期間中の学校へ通い始めて、もう一週間になる。
汗で滑る眼鏡のフレームを押し上げて恨めしげに空を仰ぐと、今日も雲ひとつない快晴。見事な観測日和だ。
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