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「十年位前までは、学校の屋上からでも天の川がきれいに見えたって話しだ」
「へぇ、なんでそんなこと中屋敷が知ってるんだ?」
「望遠鏡のセッティングを手伝ってる時、岡本先生が教えてくれた」
「あー、そういえばお前一人で屋上上がって手伝いやってたな」
「昔は、この辺ももっと空気が澄んでて余計な明かりもなかったって先生嘆いてた」
「あの辺りは今でもド田舎だと思うけど、それでも昔よりは環境が悪くなったってことかぁ」
ぼそぼそと、今の状態に関係のない話をのんびりと続ける二人。その会話を聞きながら、気を紛らわせようとしてくれているのだな、と春臣は気づいた。そっと顔を上げると、ごしごしと拳で目を擦る。新堀が何も言わずに、ぐりぐりと春臣の頭をかき混ぜた。
その後、一人で帰れるという春臣に、二人は送っていくと頑として譲らなかった。結局は家までついてきて、春臣が玄関にはいるまでずっと見送ってくれた。
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