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「俺、今井に泣かれたらほんと弱いんだよ。また、なんとか泣き止ませようとしてとんでもないことしでかすかもよ? そうしたら今井、責任取ってくれる?」
「責任て、俺どうしたら……」
「今井、教えてくれたよな。モータードライブは一旦太陽を捉えたらずっとその姿を追い続けるって。あんな風に、お互いの姿を捉えながら同じ速度で同じほうを向いて歩いていけたら、いいと思わない? ゆっくりでいい、俺は今井を絶対捕らえて離さないから。な?」
その言葉は、一方的に太陽を追いかけているだけだと思い込んでいた春臣の気持ちを揺るがせた。相変わらず熱いまなざしで春臣の瞳を覗き込む小笠原。背中に回された腕の熱がじわりと固く閉じていた心を溶かしていく。
――少しの間だけ、夢を見てもいいんだろうか?
「な?」
春臣の戸惑いを見透かすように小笠原が念を押す。春臣はその言葉に背中を押され、戸惑いながらもこくりと頷いた。
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