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第六章
手を引かれ連れて行かれたのはプールだった。
周囲に照明はなく、かすかな星明りでぼんやりと浮かび上がる黒い水面は、重たく張り付くように凪いでいる。そのなんともしれない不気味さから腰が引ける春臣をよそに、小笠原はフェンスをひょいとよじ登り、軽々とコンクリートのプールサイドに降り立った。
「今井も早く来いよ!」
「でも……」
少し怖いと尻込みする気持ちに加えて、そんな事はしてはいけないことだ、という優等生的な心理も働く。
「暑いし、水の中で涼みながら流星みたら絶対気持ちいいって」
小笠原は春臣の返事を待たずにTシャツと短パンをぽいぽいと躊躇なく脱ぎ捨て、下着一枚になった。そしてどぼんと勢いよく水音をたててプールに飛び込む。
「ふあぁっ、きもちい!」
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