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真下から桜が散るのを見るのが好きだ。
自宅の側を流れる川沿い。
そこに昔からある巨大な桜の木。
その下に座り込み、しばらくぼんやりと木を見上げる。
それが私の春の日課。
「またここにいるんですか?」
声をかけられ、私はその方にゆっくりと顔を向ける。
真っ白いシャツと青空に似た色のジーンズ。
にっこりと笑顔を向ける若い青年。
「また今年も来たの?」
「君もでしょ」
私の横に並び座り込むと、青年も同じように空を見上げる。
毎年毎年この季節になると、必ず現れる彼も、私がいる時間に現れて一緒に桜を眺めて、そして帰る。
初めは自分の時間を邪魔されてちょっと嫌な気持ちだったけど、もう慣れてしまった。
別に話しかけられるわけでもなく、ただ桜を眺めてる。
そんな関係。
ただそれだけ。
それを毎年毎年繰り返す。
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