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あの握手をしたときのぬくもりも握りしめた強さも、確かに本当だった。
だから不思議な話だけど、彼と過ごしたあの時は、確かにあったのだと思う。
そして彼の本当を聞いたあと、あらためて思った。
私も本当は、桜を見る為だけじゃなく、いつの間にか彼に逢うためにあの時間を過ごしに行っていたのだろうかと。
そして今年も花が咲いた。
ヒラヒラと花びらが舞い散るなか、私は桜の木の下に座り込んでそれを見上げる。
『やあ、今年もまた来たの?』
うん。
あなたに逢いにきたよ。
そう心の中で想いながら、私はそっと目を閉じた。
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