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対照的に疲れた顔で入って来たのはアレクシアだ。アレクシアはユーコに優しく微笑むと、寄ってきた医務員に左手を差し出す。
医務員はアレクシアの手首に取り付けられた器具から血を抜き、検査機にかける。
「さあダグラス、あなたもですよ。」
「へいへい。」
医務員の誘導により、ダグラスも左手を差し出す。
二人の血液汚染率は25%未満という結果が映し出された。
「まだ出血はなさそうだけど、具合が悪くなったらすぐ言ってくださいね。あなた方の代わりはいないのですから。」
二人の傷口をアルコールで消毒しながら止血をする。
「やっぱ旧ヨーロッパ地区は戦いにくいわ。寒いし。」
「あなたはどこで戦ってたとしても無駄な動きは多いですわ。確かに旧アフリカ地区と違って気温は寒いですけれど、それとこれとは関係なくてよ。」
「うっせぇな!細々した都市は苦手なんだよ!それに汚染度も25パー以下だったんだから結果オーライだろうが!」
採血をした傷口を押さえながら、アレクシアはユーコの隣に座る。
「体調はいかがかしら?」
アレクシアの大きな緑色の目に疲弊した自分の姿が映った。覗きこまれるたび人形のようだな、と毎回思う。
「迷惑をかけた、もう大丈夫。」
「こればかりは体質もありますし、仕方ありませんわね。」
「アレクシア、今日の戦闘も綺麗だったわ。」
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