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「あらら~?どこに行ったのかしらぁ?」
おっとりとした口調で困り果ててる女子高生がひとり、公園のベンチに座ってカバンを漁っていた。
彼女の名前は春野美音子。野良猫が多い事で有名な街の住人だ。
「どうしましょ~?これじゃあおうちに帰れないわぁ」
美音子は家の鍵を失くし、途方に暮れていた。
「みゃあお」
そんな美音子の足元に、1匹の野良猫が来た。
「あらあら、猫さんこんにちはぁ。日向ぼっこですか~?」
野良猫はのんびり話しかける美音子に背を向け、振り返ると再び鳴いた。
「ついてこい、って言ってるの~?」
美音子がカバンを持って立ち上がると、野良猫は歩き出した。美音子はそれに着いていく。
たどり着いたのは美音子が通ってる高校の正門。
野良猫は座って毛繕いを始める。その隣には……。
「あ、あった~」
美音子が探していた家の鍵が落ちていた。
「ありがとう、猫さん」
美音子は鍵を拾い上げると、野良猫を撫でた。
「にゃん」
野良猫は嬉しそうに鳴いた。
美音子がこうして何かを失くしたり、道に迷うと何故か野良猫達が彼女を助けに来る。
「あらぁ?ここどこかしらぁ?」
「にゃん」
「お腹が空いたわぁ、フレンチトーストの美味しい喫茶店でもないかしらぁ?」
「みゃー」
「いやぁねぇ、またおうちの鍵失くしちゃったわぁ」
「みゃおん」
「あららぁ?自転車どこに停めたかしらぁ?」
「にゃーん」
この様に外出先で美音子が困ると、野良猫はどこからともなく現れ、美音子が探しているものの元へ案内する。
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