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「あらあらまぁまぁ、どうしましょ~?」
この日も美音子は探し物をしていた。今回失くしたのは生徒手帳で、個人情報が書いてあるので流石の美音子も本気で焦っている。
「もう、私ったらうっかりさんで嫌になっちゃうわぁ……」
学校やいつもの公園を探しても生徒手帳は見つからない。
「みゃーご」
いつものように野良猫が美音子の元に来た。
「あ、猫さん。私の生徒手帳知らないかしらぁ?」
美音子が野良猫に訊ねると、野良猫は背を向けて歩き出す。
美音子はいつも通り野良猫に着いていく。
野良猫が案内したのは図書館だった。
「図書館?私、図書館なんて行ってないんだけど……」
美音子が困惑していると、ひとりの男性が図書館から出てきた。
「みゃおん!」
「うわっ!?」
野良猫は男性の足にじゃれつく。
「わわわ、猫さん、ダメですよー」
美音子は慌てて猫を止めた。
「すいません。あれ?もしかして……」
「はい?」
美音子の顔を見るなり、男性はポケットから何かを取り出して美音子の前に差し出した。それは美音子の生徒手帳だった。
「わぁ、ありがとうございます~」
美音子は男性から生徒手帳を受け取る。その時手と手が触れ合った。
(あらら……?)
手に触れた瞬間、美音子の胸が高鳴った。
「いえ、持ち主がすぐ見つかって良かったです。春野美音子さんって素敵なお名前ですね」
男性がそう言って微笑むと、美音子は天にでも舞い上がりそうな気持ちになった。
「あ、ありがとうございます~。あのあの、よろしければ今度お礼をさせてくださ~い」
「お礼なんて別に……。あーでもそうだなぁ、今度一緒にお茶でもしましょうか」
「はい、是非~」
「では後でここに連絡ください。では」
男性はそう言ってメモ帳に自分の連絡先を書いて美音子に渡すと、その場を去った。
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