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(やまもと)さん・・・ 彼の心の中には彼女しかいない。そう恋である。春風になびくような清々しい顔をしている彼。女性とふれあう機会がなかった。けど若い頃は、飲む。打つ。買う。随分とはめをはずした青春時代もあった。早くに父を亡くし、そのために跡を継いで百姓をしている。近所の友達は、百姓を辞めサラリーマンや役所勤めしている。ズバリ百姓では家庭を持つことが出来ないのが現状である。自給自足みたいな生活を送り、朝方まで哲学書を詠んでいる彼であった。 知識を完全なものにしたければ個々の事物について内在する原理を究めつくすべきだ。ただ、実際は内在する原理、法則を十分究めつくしてないため、知識にも十分でないところがあるわけだ。そこで、学問にとりくむ場合、事物についてすでに知り得た原理を手がかりにますますそれを推し究めて最高の域達する事が大事だ。 病院に着くと彼は(やまもと)さんを探した。スラっと彼女はしてるのですぐ分かるだろうと彼は思った。恋の文。古すぎるぜぇ!拙者ならLINEのIDを聞き、お食事に出向き、映画なんざ観て、帰り際にキスなんかすすぜぇ!さあおめぇ~さん(ご主人様)(彼)もそうしろぃ! (あっ!) (はい!どうなされましたか?) うっう!彼は戸惑った。彼女を見つけたものの、恋の文を届けに来たとは言えず。何を話そうかと思った時すると(やまもと)さんが彼に言った。 (あつ!大変、左腕から血が流れてます) (はっ!) この傷は、白菜泥棒と取っ組み合いした時の傷だ。彼は傷に気づかなかった。どころか痛みさえも感じなかった。恋とは摩訶不思議。痛みなんざぁ忘れるのがシブィで(ご主人様)(彼)!この白菜泥棒秘話を語んなぁ! (今すぐ、応急手当します) 消毒しながら機敏に動く看護師(やまもと)さん。包帯を巻いてもらいながらどこで傷をしたんだろうと彼女は思い問うてみた。 (どこで傷なされましたか?) (いや、転んで木の枝に刺さりました) バカー!なぜ本当の白菜泥棒義理人情秘話を話さねえんだぁ!女はこういう話しに弱えんだよ。しかっかりしろい(ご主人様)(彼)! 受付の事務員にお金を払った。俺はケガしてたんだ。今気づいた。うん、ナースキャップをかぶっている(やまもと)さん。は美しいと思った。青空に流れる雲が自由に恋をしてもいい時代と空に向かって悟った。が、恋の文を渡すのをすっかり忘れている彼だった。
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