桜の木の下に埋まってみた!

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「死体は埋まっていたか?」 「埋まってなかったよ」 「そりゃそうか」 「死体はあっちの桜の木の下に埋まってる」 「そうなのか。掘り返しに行くか?」 「お腹が空いたからいい」 「じゃあ、俺の弁当でも食べるか」 「桜の木の下で?」 「死体が埋まっているという文脈を抱えながらね」  そうして、俺と幼女は桜の木の下から這い出て、弁当を食べた。 「来るか? 俺と」 「うん」 「名前は?」 「桜子」 「そうか」 「うん」  …………。  少し興味深い話題があるのだが聴いてくれるか?   「桜子ちゃん」 「なに?」 「ニュースやってるよ」 「大丈夫、誘拐されているって話だけどそれは古い情報だから」 「ああ、そうか」 「うん。そう」 「なら、問題ないね」 「うん」 「また会えたね」 「?」 「覚えてない? 俺が君を殺したの」 「…………」  桜子ちゃんは沈黙していた。  そして、少しだけ目尻に力を入れて、睨むように俺をみて。 「ブラッドジョーク駄目絶対」 「ははは、ごめんごめん」  笑いながら謝った俺は立ち上がった。 「じゃあ夕飯でも作ってくるから好きなだけお邪魔しているといいよ」 「にゃー」  …………。 「掘り起こしちゃ駄目だからね」 「ん~? ちょっとなにいってるかわからんな~」  ひとつだけお知らせしておこうか。  俺はカニバリズムでも自分の肉体の一部を本人に食べさせて狂喜乱舞するなんてイカれた野郎ではないということを。 「それはそれで得難く興味深い経験なんだろうけどね」  まあ、興奮はするんだけどね。  ロリコンだから。  悪戯はそのうちしてみようっと。 「~♪」  交響曲第5番ハ短調を口笛で刻みながらこの流れに祝福の意思を示した。  これからが楽しみでならなかったのであった。
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