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「だって、もし誰かに知られたら、その人は一足先に悲しんでしまうかもしれないでしょう?」
シアンは優しい。僕なんかより、余程お人好しだ。それを口には出さず、僕は小さく微笑んだ。
「シアンらしい答えだね」
不器用で回りくどく、一見冷たく見えても、本当は誰よりも人を気遣っている。ずっと変わらない、シアンの不器用な優しさ。
「そう? それは、褒め言葉として受け取っておいていいのかな」
首を傾げつつ、彼女ははにかんだように微笑んだ。
「ねえ、ハイト君。このあと予定はある?」
はにかむような笑顔のまま、シアンが問い掛ける。
「ないけど……どうしたんだ?」
すると、彼女はおもちゃを貰った子供のように無邪気な笑顔を浮かべた。
「そろそろ夏休み終わっちゃうから、最後に花火、しない?」
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