第5章 愛するということ

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「はるま!!」 脳裏には、出会った頃からの素敵な思い出が走馬燈のように流れていく。 愛してると言いたくて、だけどやはり今それを言うには違う気がして。 私が躊躇っていると、 『ほら、最後だからさ。 あんたも何か言うことあるんじゃないの?』 と、晴馬が私の背中を押した。 「……私こそ、ずっと今まで助けてくれてありがとう。 ……さよなら」 愛をこめて、最後の言葉をやっと絞り出した。 プツン、 通話が切れて、私はベランダの床に座り込んだ。 夕闇の都内上空に珍しく鮮明な三日月が出ていた。 同じ空を見て、同じ月を見て、同じ時の中にいて、それはどちらかが死ぬまで終わらない。 どこかで、彼は生きている。 今は、それだけで十分だ、と感じていた。
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