EPILOGUE

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でもね。 私にとってはあれも愛だったと信じたい。 晴馬は他の誰にも見せない弱さを私に見せてくれた。 愛してなかったらそんなこと出来ないと思う。 私が晴馬なら、きっとそう。 愛してるから、 信じていたから彼の言う酷いこともできたんだ。 自分も傷付いて、私を傷付けて。 痛みだけが生きていることの確認作業。 辛い過去から逃げている間、心は麻痺している。 ほんの少し触れたぐらいじゃ、感覚が遠過ぎる。 だから、傷がつくほど強く 自分を刻みたくなる。 「謝るのは、私も同じ。 やめて…私だって晴馬に慰めて貰ってたんだもの。 おあいこでしょ?」 「怒ってない?」 「怒ってなんかないわ……。ただ、すごく寂しいわね。 せっかく愛する男に会えたのに…その妻に気遣って貰って、 今こうして話すことが出来ているんだもの…。 あの子……スゴイ子ね」 「夏鈴は最高で最強の女だよ。 俺はこれまでもこれからもずっと彼女しか愛せないと思う」 まさか、あの東海林晴馬から惚気が聞けるなんて夢のようだ。 確かな決意と彼女への揺らぐことのない愛情を、晴馬からしっかりと感じていた。 もしも、未だに孤独の中を彷徨っていたら、なんて心配は要らぬお世話だった。 すごく安心した。 「……そっかぁ。晴馬、幸せになってたんだね」 「うん。俺、めちゃくちゃ幸せ。毎日、幸せだよ。全部、彼女のおかげ」 だらしないぐらい幸せそうに笑う晴馬は、可愛らしくて。 ボロボロだった頃からは想像もできないぐらいに眩しい。 「あの子、いくつ?」 「俺より10歳若いけど、俺の親ぐらいしっかり者で出会った時から尻に敷かれてるよ」 「…あんなに病んでた晴馬をここまで変えた子なら、私じゃ全然敵わない…」 もう一度、彼女を見た。 彼女から放たれるオーラは美人だな、と思う。 「真央さんならきっと良い男見つかるよ。俺のことは諦めて次の恋に踏み出して。 自分の事を幸せにしてあげて下さい。今まで、ありがとうございました」 「……私こそ、ありがとうございました」 颯爽と去っていく晴馬。 彼女の前に着くと、彼女は彼を見上げて まるで聖女のように慈愛に満ちた微笑みを向けていた。 私は彼女に興味がある。 女の幸せについて、彼女とはいずれ話がしてみたいものだ。 心のカメラで美しい夫婦を撮影し、私は胸に焼き付けた。 end
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