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汗ばむ肌を抱き寄せ
早鐘を打つ鼓動を感じたくてしがみつくと
彼は決まって私の骨盤を押さえつけて
物凄く激しく体を叩きつけてくる。
壊れそうなほど激しく愛されるのは、
本当はそんなに好きじゃなかった。
どちらかというとゆっくりと肌を馴染ませるような
甘い揺らぎの中で蕩けてしまいたい。
だけどそんなことは言えず、
私は頃合いを見て喘ぎ声の合図を送る。
彼は姿勢を変えて私の頭を肩を包み込むように抱きしめて、
角度のちがうところを巧みに刺激した。
これが一番、気持ちが良い。
本当に癖になるぐらい、最高に気持ちが良い。
でも、私が高ぶり切らない内に彼は果ててしまう。
熱い体液が私の器の中に満たされた。
子供ができない私の体には避妊具は必要なかった。
だから吐き出し終わった彼はそのままベッドを離れてシャワーを浴びに居なくなる。
愛し合った余韻も共有してくれない。
乱れたシーツの海の中で置き去りにされたまま、
火照った体が静かに冷えていくのを天井を眺めて待っていた。
そして太ももに垂れ落ちてくる彼の愛を大きめのペーパーで掬い取る。
カーテンのない窓の外は地上から遠い場所にある。
まるでガラスの塔だ。
そこに騙されて閉じ込められたプリンセスは毎夜、
傲慢で嘘つきな魔王に抱かれ、自分ではない何かに変わっていくことを止められずにいた。
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