第1章 傷だらけの天使

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汗ばむ肌を抱き寄せ 早鐘を打つ鼓動を感じたくてしがみつくと 彼は決まって私の骨盤を押さえつけて 物凄く激しく体を叩きつけてくる。 壊れそうなほど激しく愛されるのは、 本当はそんなに好きじゃなかった。 どちらかというとゆっくりと肌を馴染ませるような 甘い揺らぎの中で蕩けてしまいたい。 だけどそんなことは言えず、 私は頃合いを見て喘ぎ声の合図を送る。 彼は姿勢を変えて私の頭を肩を包み込むように抱きしめて、 角度のちがうところを巧みに刺激した。 これが一番、気持ちが良い。 本当に癖になるぐらい、最高に気持ちが良い。 でも、私が高ぶり切らない内に彼は果ててしまう。 熱い体液が私の器の中に満たされた。 子供ができない私の体には避妊具は必要なかった。 だから吐き出し終わった彼はそのままベッドを離れてシャワーを浴びに居なくなる。 愛し合った余韻も共有してくれない。 乱れたシーツの海の中で置き去りにされたまま、 火照った体が静かに冷えていくのを天井を眺めて待っていた。 そして太ももに垂れ落ちてくる彼の愛を大きめのペーパーで掬い取る。 カーテンのない窓の外は地上から遠い場所にある。 まるでガラスの塔だ。 そこに騙されて閉じ込められたプリンセスは毎夜、 傲慢で嘘つきな魔王に抱かれ、自分ではない何かに変わっていくことを止められずにいた。
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