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世間から見れば、常軌を逸していることぐらい自覚している。
私はもうまともな人間関係を誰かと築けるだなんて甘い期待はとうに捨てている。
高津和利のプロポーズを受けたのは
今の生活基準を落とせないとわかっているからだ。
若さを失って価値のない女に成り下がって行く苦しみから、
この男は救ってくれたことには違いない。
仕事という遣り甲斐を手に入れたら、
もっと自分に自信が持てる気がしていることも見抜かれている。
彼の事業ありきで今の私の勉強は成り立っている。
仕事がなければこの生活も努力も報われないのだ。
「真央?気が進まないなら、無理強いはしないよ。
だけど、この商談がまとまったらご褒美に前欲しがっていたダイヤの指輪を贈ろう」
男から宝石を貰うことは私にとって大きなメリットがある。
もしもまた、男の気まぐれで捨てられることになった時は、
我が身を助けてくれるものはお金や宝石類である。
「わかったわ。
何時にどこに行けばいいのか、携帯にメールして」
勉強の前にエステを予約して肌を磨くことにした。
メールを確認すると、相手の好きなタイプの女性像に近い海外セレブの画像まで貼ってあった。それを参考にメイクや着て行くドレスを選ぶ。
今夜のお相手は細い足首が好きらしい。
足首が細く見えるハイヒールを店員に選んでもらって、彼名義のクレジットカードで買い物を済ませた。
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