貰った人生

2/3
前へ
/3ページ
次へ
例えば、空から100万円が降ってきたとしたら。 貯金をする人もいれば、娯楽に費やする人などさまざまだろうけれど。 もしもそんな場面に自分が出くわしたら、どうするだろう。 趣味につぎ込む?それとも将来の為に貯金する? 只々散財するのもいいかもしれない。 まあでも取り敢えず 「100万円の借金を返済しなければ」 そんな事を考えながら今日もまた、桜の木の下に埋まっているあの子に会いに行く。 対価交換というやつだろうか。彼女の人生を貰う代わりに僕は100万円の借金をしたのだ。 この街では死んだ数分後に生き返る人がそれなりにいる。ただしその対価として生き返った人はそれなりの額の借金を背負わされることになるという話は結構知られている事。 何処ともなくその人にだけ見える桜の木が現れて、木の下、つまり桜の根が埋まっているであろう場所から声が聴こえるのだとか。 「貴方は何日後かに死ぬよ。死にたくなければそれなりの対価を払え」と。 額はその時の気分によって変わるらしい。これは埋まっている彼女に実際に聞いたことだ。なんて気まぐれなんだろうか、そんなんでいいのか桜の君。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加