夜桜乱舞4年目

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俺は慌ててスマホ画面を見た。 …嘘だろ。 写真には電波女の姿がなかった。 おじいさんの言うとおり桜が映っているだけで、人影すらありはしなかった。 俺は何度も写真を見た。 スマホの電源を入れ直したりもした。 けれど、電波女の姿は映っていなかった。 「もしかしてその桜の木、あの木なのかい?」 おじいさんは撤去されて行く桜の木を指さして言った。 そうです、と答えると、 「へぇ!本当に大したものだよ!」 とおじいさんは声を大きくした。 「僕は何十年も写真をやっているけど、あの桜をこんなに見事に撮るなんて、大したものだ!」 何だか褒められているようだが、とても喜べる状態ではなかった。 …電波女は?あいつは一体何だったんだ? 俺は必死で考えた。考えて考えて、何も答えなど出て来はしなかった。
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