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「見て、ヴァロン!すっごく綺麗!」
ーーいや。
綺麗っつーか、お前が可愛いっつーか……。
そう思わず口から出そうになって、俺は口元に片手を当てて少し俯いた。
人気の少ない明け方の並木道。
満開の桜の下で愛おしい妻が微笑む。
時折優しい春風の衝撃を受けて頭上からヒラヒラと舞い落ちるピンクの花びらが、大好きな彼女の笑顔をまた一層と輝かせてくれる。
連れてきて良かった。
連日の仕事の疲れも一気に癒され、俺は心からそう思った。
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