番外~草原の花咲く丘で…~(前編)

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・ ラティーファに繋がる番号を押して向けたアレフの手から、国王は恐る恐る電話を受け取る。 「も…もし…っ…」 「あら。あなた?何事かしら?」 「う、うむ…っ…いや、なに…」 たどたどしい言葉が並んでいた。呼び掛ける国王の声は急な展開でかなり動揺している。 そんな国王を眺め、アレフは珍しくニヤリとした表情を浮かべた。 国王はアレフの視線からくるりと顔を背ける。 ラティーファは電話の向こうに繰り返し尋ねた。 「なにかしら?」 「う、うむ……」 「……?…」 「その……なんだ…」 「………」 「あの……」 「忙しいから早く言っていただけるかしら?」 「う、うむっ…そ、そうだな…ザイード達は…もうそちらに着いたか」 「…いいえ、まだよ…陽が沈む前には着くとは言っていたけど?」 ラティーファは答えながら様子の可笑しい夫に首を傾げた。 そのまま沈黙が続く向こう側に国王はぐっと息を飲む。 「そ、そうか…では余も……」 「………」 「余もっ…」 「……?…」 「いずれそちらに行っても構わぬだろうか…っ…」 国王の声はとても緊張していた。
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