第1章 幸福な日々

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 オーラムの頭部視点のモニターから眼下に見えるその両腕が動き、後ろ腰に装着していた短い棒(バトン)を取って両手で持つ。  ブゥン……  バトンの上端から噴き出した青白く細長い炎が、機体の腕よりやや長く伸びる。拡散しないよう、物質化した光子(フォトン)で覆われた重金属粒子の(ビーム)。  バトンは柄に。  ビームは刃に。  一振りの剣、極光剣(ビームサーベル)の出来上がり。遠目に、シルバーンも極光剣(ビームサーベル)を抜いたのが見えた。 「よし、行こう! オーラム?」 『行くわよッ! シルバーン?』  左右の操縦桿をグイッと前にスライド。  左操縦桿から左半身に。  右操縦桿から右半身に。  それぞれ〝前進〟の入力を受けたオーラムが、真っ直ぐ前へ走り出す。  さらに左右のペダルを踏んで!  アクセル全開、全力疾走に!  ダッ!  ダッ!  オーラムが大地を蹴る度に蹴った足側のペダルが振動し、機体との一体感を高めてくれる――ああ!  僕は今、ロボットを動かしてる?  シルバーンの姿が大きくなっていく。砂を巻き上げ、向こうも同じように駆けてくる……  今だ!  右操縦桿の引鉄(トリガー)を人差し指で引き絞る。機体から前へ伸びる緑の線、攻撃補助エフェクト〝攻撃線〟に沿って、オーラムが剣を突き出す?  バヂィィッ?  シルバーンの突いた剣と激突!     
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