第1章 幸福な日々

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 右操縦桿の引鉄(トリガー)から人差し指を離し、親指でパッドを押し込み自動防御ッ!  バチィッ!  オーラムが剣を持ち上げシルバーンの剣を受け止める――自動防御中は自分の武器を取り巻く緑色の環状エフェクト〝防御円〟内に侵入する攻撃を、全自動で迎撃する! 『流石(さすが)ね!』 「君もね!」  いったん引いて、再度斬り結ぶ。  引鉄(トリガー)を引けば、攻撃線に沿って剣を。突いたまま機体を回転させれば、剣を。  バヂィッ! 「止めたか!」 『お返しっ!』  敵の攻撃が防御円に飛び込む瞬間、パッドを押せば自分の剣でがっちり、パッドと引鉄(トリガー)を両方押せば! 『しぶとい!』 「ありがと!」  バヂッ! バヂィッ?  ババッ! バババッ?  光の刃を縦横無尽に(ひらめ)かせ、打ちつけ合って火花を咲かす。  2人で踊ってるみたい。  ロボットの、VDの操縦は楽しい。  VDを操縦して戦うのは楽しい。  誰と戦っても楽しいけど――  カグヤとが、一番楽しい? 「カグヤぁっ?」 『アキラぁっ?』  ずっとこんな時間が続けばいい。  ずっとカグヤとこうしていたい。  でも―― 『あっ?』  ――終わりは必ずやってくる。  シルバーンが膝をついた。  関節にガタが来たんだ。     
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