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「こんなお店とは失礼だねえ」
「す、すみません」
「まあ、こんなお店、って思ったからあんたも強盗できると思ったんだろうけど。駄菓子屋なんて別に綺麗である必要ないから建て替えしてないだけで。あんたみたいな安直な考えの泥棒に対抗するにはやっぱり最新のセキュリティにしとかないとね。もちろん、すべてパソコン管理だよ。なんだ、あんたパソコンくわしいのかい」
「……いえ、逆です。パソコンなんて全くわかりません」
「ああ、それで心配したのか」
何かを納得したのか、おばあちゃんはなるほどな、と言った。
「一般の会社ってやつは、即戦力ばっかり欲しがるようだけど、それじゃ『人を育てる人』が育たないってことに気づいてないね。出来あがってる人間ばっかり欲しがるくせに、自分の会社にそぐわないやつとわかった途端、使いたがらない。ゆくゆくは滅びていくばかりさ。あたしはこの駄菓子屋はいつまでも続けていくつもりだからね、あんたがその気なら一からちゃんと教えていくから気にしなくていい」
僕はバイトの面接をしに、この駄菓子屋に入ったんだっけ。そう勘違いしてしまうほど、おばあちゃんは丁寧に説明を続ける。
「僕、ホントに何一つ満足にできなくて、おばあちゃんの足引っ張らないか不安です」
すると、ずっとシワシワだった頬が急にピンと伸びて、おばあちゃんはほっこりと笑った。
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