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黒のジャケットに、少し細身のパンツ。
片目が隠れるぐらいの長めの前髪は、いつもと変わらないのに…少し、ドキッとしてしまった。
「お、おはよー!」
ドキッとした事を悟られないように、いつもと変わらない感じで声かける。
「おは……よ…う。」
彼の視線が止まる。
「…あっ、いつもと違うからびっくりした…。」
「そう?どう、可愛い?」
イタズラっぽくそんな事を聞いていた。
「あ、ああ!すげーかわいい!!」
翔は慌てたように言いながら、耳を赤く染めていた。
「女の子は、かわいいって言われたら嬉しいんだから本番は、ちゃんと言うんだよ!」
「お、おぅ!」
「今日は、水族館いかない?ベタだけどさ、やっぱりいいと思うんだよねー。」
「…お前、昔から好きだもんな水族館。」
『うん!』と、少し大げさに頷いてから私達は電車に乗った。
土曜日の電車は、混んでなかったけどなんだか隣同士で座るのが恥ずかしかったから…扉の近くに立ちながら目的地に向かった。
電車を降りると思ったよりも人が多くて、ぶつかりそうになっている私を見かねてなのかいつのまにか翔に手を引かれる形で手を繋いでいた。
「…危ないから。」
そんな事を言いながら、彼は空いている手でクシャッと前髪をかく。
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