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「お待たせ。」
彼から渡されたクレープは、チョコレートアイスにカスタードとアーモンドとの入っているやつだった。
「…よく、覚えてたね。」
「お前、そればっかり食べてたじゃん。」
「いただきます。」
翔が買ってくれたクレープは、昔から好きな組み合わせ。覚えててくれたことが嬉しかった。
「翔さ、優しいし気遣いもちゃんと出来るから…緊張しなかったら絶対、付き合えるよ!!」
「……。」
不安そうな表情の彼は、何も言わずにクレープをほうばっていた。
「幼馴染の私が保証するから!!」
「…お前は…今日、一緒に居てドキッとしたか?」
「…うん、したよ…。翔、いつもよりカッコよかったし。」
嬉しそうに『そっか』とだけ言って、またクレープをほうばり始めた。私もそんな彼を見ながら、チョコレートアイスを零さないようにクレープを食べた。
「帰るか。」
「うん。」
クレープを食べ終わった後は手を繋がなかった。
翔は、どこか上の空で会話もポツポツとする程度。好きな子の事を考えて緊張しているんだろうから仕方がない。
電車が地元に着き、いつもの道をいつもと違う格好で歩く。
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