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2018年3月19日
SS
人生とは何故こうも上手くいかないものなのだろう。
細い首に回した手に目一杯の力を込め、淡いブラウンの瞳から絶えず流れ続ける雫を眺める。もう後には引けない。
「ごめんね」
命の灯火が切れる間際、彼女の唇はそう動いた気がした。
手を離すと、彼女の首は重力のままに枕に落ちた。
暫くの間虚無感と非現実加減に思考停止を起こしていたが、壁掛け時計の秒針を刻む音が眼前の彼女を無残な姿に変えたのはこの手であると知らしめた。
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