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真実なんていらなかった。
体調を崩したから来れないのか。
もしかしたら、もう彼女は……。
真実を受け止められるか、僕には自信がなかったから曖昧なまま彼女が桜の木の下へと来れなくなった事だけを僕は受け止めた。
「これ、姉からです。」
彼から渡されたのは、彼女かいつも読んでいた本をだった。
「…これ、お願いしていいかな?」
彼は、何も言わず僕の手からチョコレートを受け取った。
「昨日のお礼なんだ…。」
彼も僕がそれ以上の答えを望んでないことを理解してくれて、チョコレートを受け取りそのまま病院へと戻っていった。
桜の木の下で、本を読んでいる君。
最後まで名前を知らないまま。
まるで、桜のように儚い人。
桜が見せた夢だったのかもしれない。
君が来ない桜の木の下で、僕は本を読んでいる。
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