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「桜の木の下にはクソ女が埋まっている。」
「ぶっは!肥やしだけに、ってか!?
どうしたんだ下手人お前そんなジョークが言える奴だったのか!
校庭の桜の下に女生徒の遺体が…なんてありがちなホラーだな。
さしずめ被害者は桜木埋とか言う名前の…いや、そんな盆俗な名前ではあるまい鳴海先生だったら不乱詩咲良とか玖素天小椰子ちゃんとかトチ狂った名前を付て短編を書くだろうよ。」
カラカラと痛快に笑って暮荒知悪音は桜並木を歩く。
そう、ここは難関にして名門校で各業界のトップを数多く輩出している学園、その名も
南関荷仕手銘紋光出覚行改野突風小和大句排出仕手入学園
《ナンカンニシテ メイモンコウデ カクギョウカイノ トップオカズオオク ハイシュツシテイルガクエン》だった。
「逆に訊こう、僕が犯人じゃ無い証拠でもあるのかね!?」
悪音くんに着いて歩んでいた僕は足を止め、大手を振る。
手には血濡れのショベルを握り、嵌めた軍手から制服の袖口までぐっしょりと血と泥にまみれている。
いつでもどこでも事件現場に居合わせる罪無き咎人。それがこの僕、十叶下手人のキャッチコピーだ。
第一発見者=重用参考人である。どうせ皆僕を容疑者と見て疑わないのだ。さぁ、好きなだけ告発したまえ。
「レッツ、トゲナイしようぜ!」
「何言ってるんだ下手人、加害妄想もここまで極まると泣けて来るぜ。お前はどうせ近所の猫の遺体を埋葬していたんだろ。俺達の心が痛まない為に大業なブラックジョークまで交えて。そういう所、嫌いじゃないぜ!」
「いや、あの違…」
「ほら、今日は栄え有る入学式、俺達が主役なんだぜ。遅刻は不味いだろうが。そんでさ、入学したら以前から話してた憧れの探偵部に入ろうぜ我が親友!」
「ああ、そうだね我が親友。だけど君は探偵には向かないかもね我が親友。」
何故なら君はこの日、また一つ事件を逃したのだから。
これは桜枚散る季節に費えた僕達の追憶。
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