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「すみませーん」
晴天の下、二人の若い女性が垣根越しに麦わら帽子を被った中年女性に声をかける。
「おでこにハートがある猫見ませんでした?」
「さあ。見てないわ」
「そうですかぁ」
「あっち探してみよ」
二人を見送ると女は庭いじりを止め、勝手口から家の中に入った。
「モモちゃん。アナタもとんだ災難ね」
話しかけたのは白と黒が半々に混ざった猫。その額には白いハートが浮き出ている。
「見ず知らずの人に囲まれて、追い回されて。嫌よね。アナタの気持ち、解るわ」
女はハートに手を添え、優しく撫でた。
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