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「大丈夫、皆一緒にこられたからね……。」
そう、まるで泣く子供をなだめるように、優しく優しく抱き締めた。
本当は、音羽自身もとてもつらかったけれど。
「あの……火……花、さん。」
「火花ちゃん、とおよびくださいな?あと、敬語もいりませんわ。他国でも、仮に姫どうしではありませんか。」
「!えっと火花ちゃん、さっき言ってたおつげってなあに?」
音羽はずっときになっていたのだ。
おつげとはなにか。
「……二日前のことですわ。」
火花はかたりはじめる。
「水盆の水鏡の月にうつりましたの。音羽ちゃんたちがこの国へ来るのを。そして、おつげで、その人たちの助けになるように、と。もう、水盆の水鏡はうつりませんが。」
「どうして?」
「……このあめですわ。」
ザアァァァァァ……
「「「雨?」」」
「このあめで水盆の水鏡が乱れて、よくみえないんですの。」
その時、音羽は懐かしい気配を感じた。
「……これっ!」
ふりやまぬ雨をみて、音羽はきづいた。
「そう、音羽ちゃんの大切なものですわね。多分、水のチカラですわ。」
「……!それもおつげでしってたの?」
「はい。」
ドオォンッ!! ガラ……ガラ……ッ!!
「わあっ!」
音羽はあまりの音の大きさにびっくりした。
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