宇宙人としての僕

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宇宙人としての僕

赤裸々にダイナミックに告白をしよう。 僕は宇宙人だ。 こんなことを言うと、 「地球人も広義な意味では宇宙人だよ」 なんてしたり顔の人もいるだろうけど、 残念ながらそういう意味ではない。 もちろん、残念でもない。 僕が宇宙人である証拠に、 エレベータとエスカレータを必ず言い間違えるし、 生卵を割ると三回に一回は殻が混ざる。 決定的なのが、 ガッチャンのモノマネが完璧とかね。 うん、他にもたくさんあるけれど、 とりあえずこれだけあれば充分のはず。 普段は地球人に紛れて、 学校に通ったり、 アルバイトをしてるけど、 夜になると遠い母星に思いを馳せる。 何万光年先の故郷は、 とても小さくて三等星。 きっともう帰ることはないし、 帰ろうとも思わないけれど、 懐かしいなって気持ちだけは、 いつまで経ってもなくならない。 時々、自分が本当は、 地球人じゃないかと錯覚することもある。 だけど、僕が宇宙人だってことは、 アイデンティティーであり、 誇りだからこれだけは譲れない。 カレーライスを食べる時に、 向かって右側がライス、左側がルー。 その奥手に福神漬けをセットするってくらいに、 譲れないのだ。 こういう誇りとかこだわりが非常に大切で、 犬の散歩をする時も常に誇り高く散歩する。 犬はそれをとても評価してくれて、 僕に尊敬の眼差しを向ける。 特に餌皿を目の前においてやると、 その視線は熱いくらい。 そのうちメルトダウンしないか、 とっても心配だったりもする。 たぶん、しないとは思うけどさ。
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