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「私は結婚…してるの?」
「そ、俺とね。」
満面の笑みを浮かべる私の夫だと言う人。
その笑顔があまりに綺麗で、胸がドキンと跳ねた。
「足に力が入らないけど…私はどうなってたの?」
「階段から落ちて頭を打って手術を受けたんだ。」
「階段から…?」
「一気に思い出そうとするとパニックになるよ。少しずつ教えて上げる。」
「う、うん。」
ピンポーン
「あ、夕貴の両親だ。」
「私の?」
「ちょっと待ってね。」
夫の優人さんがインターホンの対応して戻ってきた。
お父さんとお母さん…
ボンヤリした記憶はあるが、どんな人だったか思い出せない。
暫くして玄関のチャイムが鳴り、賑やかに入ってきた女性と物静かな男性
「夕貴、夕貴が目を開けてる!」
泣きながら抱きつかれても、頭は靄がかかっていて、どんな反応をしたらいいのか分からない。
頭を撫でながら涙を溢す女性に
「…お母さん…です…か?」
「お母さんが分からないの?」
女性のまた溢れ始める涙に、どうしたらいいか分からなくなる。
不安げに優人さんの顔を見ると、笑顔を返してくれた。
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