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「お母さん、夕貴は目覚めたばかりでまだ自分を取り戻せてないみたいです。」
「まあ、そうなの?」
驚きの顔を向ける女性に笑顔を向けたつもりだけど、上手く笑えているか分からない。
「高村くん、病院に行ってみたらどうかな?」
「はい、一度行ってみます。鼻の栄養チューブも抜いちゃったし…。」
「口から飲めてるのかい?」
「コップじゃダメなんですが…」
「どうやってるんだ?」
「はあ、お父さんの前でなんですが…
夕貴、水飲む?」
喉がカラカラで頷くと
コップの水を含み
口移しに飲ませてくれる。口のなかが潤い美味しいと感じて自然にゴクンゴクンと飲む
目の当たりにしていた男性が頬を染めて視線を游がせた。
「コホン、まあ、仲が良くて何よりだ。」
「ステキ!」
さっきまで泣いていた女性が、目をハートにして両手を口許に置いて、羨望の眼差しでこっちを見ている。
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