第1章

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フワフワした白い世界 色のないその空間に私はいた いつから、どのくらいここにいるのか分からない 悲しむこともなく 喜ぶこともない 疲れも苦しみも痛みもなくて ここにいるのはホントに心地いい まるで赤ちゃんが温かい羊水の中にふわふわ浮いてるようなそんな安らかな感覚 なのに… 胸には何故かいつもぽっかり穴が開いてるような虚無感が同時に存在していた。 それが何なのか分からない だからといって疑問も戸惑いもなく心地いい空間にただ身を委ねていた。 そんな私のもとにある日緑色が一瞬目に写った気がした。 懐かしいような切ないようななんとも言い様のない胸のざわつきがするのに それが何なのか分からない 不思議に思っていると 突然眩しい光が射した。 神々しい光に目を細めていると 光の中から女の子が現れた。 無の空間に現れた彼女はホントに愛らしくて私は彼女から目が離せない。 「ママはどうしてここにいるの?」 「あなたの側にいたいからここにいるの。 あなたを長い間待ってたの。」 私の口から出た言葉は、意味があるようでないようで実感がない。
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