第1章

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ガサガサと衣擦れの音 自分の口から漏れる圧し殺した呻き声 この光景… 急に胸がザワザワと騒ぎ出した。 なんだろうこの気持ち… バチッバチッと頭の中で音がしてなにかが開く感覚 どす黒い雲が胸の中を覆いつくし 小さい針が心臓をつつきだす。 先程の甘い気持ちとは真逆の感覚と共に、忘れていた記憶が次々と溢れ出してきた。 「いや、やめて!」 「止まらないって言っただろ。」 高村くんの指が嫌で嫌で堪らない 次の瞬間 「他の女を抱いてたくせに! 高村くんなんて大っ嫌い!」 大声で叫んでいた。 その言葉に高村くんが固まった。 「…夕貴」 「夕貴だけなんて… 夕貴の為に生まれてきたなんて… 嘘ばっかり 隣の家にいつも女を連れ込んでたの? 信じてたのに… 大好き…だった…のに…う、うう…」 あのとき言えなかった言葉が吹き出した。 「夕貴!」 高村くんの腕が体を捕らえ、身動きできないほど強く抱き締められた。
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