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「嫌!やめて!
触らないで!」
腕から逃れようとジタバタするのに、力がなくて高村くんはびくともしない。
悔しくて唇を噛んだ。
「お願い、黙って聞いて!
あのときのこと、ちゃんと話すから…」
「嫌!嘘つき!」
なおも抵抗にならない身動きを繰り返した。
「じゃあ、勝手に話すから。
夕貴が見たのは家政婦だ。
隣の家の掃除をしたときマスターキーを作り、掃除をした次の日から隣に住み着いていた。」
「嘘!」
「嘘じゃない。それを知らない俺は、酔っぱらって帰ってきてベッドで眠った。家政婦が息を潜めていたなんて思いもしなかった。
朝夕貴が来てくれるのを楽しみに眠ったんだ。
寝入ってどれくらい経っていたか分からないけど、電気を付けずに女がベッドに入ってきた。
酔いも醒めてないし、寝ぼけた俺は入ってきたのが夕貴だと信じて疑わなかった。
キスをして体に手を這わし女が声を上げたとき、おかしいと感じて手を止めたんだ。
その時夕貴が叫んだんだ。」
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